わたしの、センセ
―さくらside―

セミダブルのベッドの上で、スヤスヤと眠っているセンセの横顔を見つめた

規則正しい寝息が、センセが深く眠っていると教えてくれる

シャンプーしただけの自然なセンセの髪が、無造作に枕の上で遊んでいる

少し茶色がかったセンセの前髪が、はらりと落ちると、センセが寝がえりを打つ

『んー』と呻きながら、枕を抱きしめるとセンセはうつ伏せになった

センセの寝顔を見られるなんて、わたしは幸せ者だ

学校のどの生徒も見たことがないセンセの姿を、わたしは知ってる

今、センセの無防備な姿を目にしている

幸せすぎて、どうにかなっちゃいそう

わたしはセンセの腕に絡みつくと、センセの身体にすり寄った

うつ伏せで寝ているセンセの瞼がぱっと持ち上がると、センセの手がわたしの額に触れた

「熱…ある?」

「え?」

わたしは、センセの寝起きの良さにびっくりしながらも、そういえば少し身体がダルイかもしれないと感じた

センセの手が、わたしの額から後頭部に移動する

「身体が熱いよ? 平気?」

「少しダルいかな。もしかしたら37度くらいあるかも。でも平気です」

わたしが笑うと、センセがすごく心配そうな顔をして身体を起こした

「ちょっと待ってて」

センセがベッドから出ると、ボクサーパンツだけ履いて、スタスタとリュックのほうに歩いていく

つい、センセの足首の傷に目がいってしまう

痛々しい傷痕が、その辛さを物語っている

「寒気は?」

「無いです」

「少し無理させちゃったかな」

センセが、リュックの中に手を入れながら、ぼそっと呟いた
< 110 / 176 >

この作品をシェア

pagetop