わたしの、センセ
―悠真side―

『警察から電話があって、福山真央さんの引き取りをしてほしいって。その…なんか、犯罪に巻き込まれて酷く怯えているらしいとかで…しきりに松浦先生の名を呼ぶとかって』

事務の先生からの言葉に僕の頭が真っ白になった

真央に一体、何があったというのか?

犯罪に巻き込まれたって…どんな犯罪だよ

酷く怯えているって…何に怯えているって言うんだよ

僕は早足で職員室に戻ると、保留中になっている受話器に耳をあてた

「お待たせしました。松浦です」

『良かったぁ。連絡が取れて…』

あからさまに安心した警察官の声が、僕の聴覚を刺激した

「真央に何かあったって」

『あ…強姦です。今、彼女は病院のほうに居ます。怪我もしていたので、手当てが終わって…』

「犯人は?」

『捜査中です。それで、とても一人で帰れる状態ではないので、迎えに来てほしいのですが』

「…わかりました」

僕は、警察官から、真央のいる病院を聞いてから電話を切った

僕は受話器を掴んだまま、「ふう」と息を吐いた

なんで、真央が?

僕が、アパートを追い出すように仕向けてしまったから?

たった二日の間に、何があったんだよ

夜はどこで過ごしていたんだよ

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