わたしの、センセ
ピンクのワンピースが、華麗な蝶のようにスカートの翻して、飛び出していく

やっと、行ったか

…たく、暢気な奴らだな

ギリギリまでお互いの気持ちをセーブして…馬鹿なヤツら

我慢するのが、お互いのためになるとでも思っているのか?

我慢して、自分の人生を犠牲することが、幸福とは違うだろ

なあ…クレア

お互いが我慢したがゆえに、俺たちは一緒になることも、手と手を取り合うことすらも出来ずに終わった

権力にひざまずき、横暴な男のルールの中で、俺らは何もできずに散っていった

今は違う

俺は力を手に入れた

だから、今ならできることをする

権力をカサに、好き勝手にやるヤツらをこの社会から抹殺する

それが俺ができる唯一のツグナイだ

クレアに何もできなかった俺の……罪滅ぼし

俺は桃香との結婚指輪に口づけをすると、口の端を持ち上げて微笑んだ

「裏切り者は処刑する。それが俺のルールだ」

さあ、ショータイムの始まりだ

娘に裏切られた父親の顔を拝んでやろうじゃねえか

婚約者に裏切られた情けない男のツラを拝んでやろうじゃねえか

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