わたしの、センセ
俺は花嫁の控室で、ソファに座り、偉そうにテーブルに足を乗っけていた

いや…実際に俺は偉いけど、な

親父の会社じゃ、まだまだ下っ端だけど…権力なら誰にも負けねえ

俺に『悪』を語らせたら、右に出るモノいねえな

俺は腕時計で、時間を確認する

「そろそろか?」

俺は眼鏡を押し上げると、ワクワクする心を咳払いで落ち着かせた

脱ぎ棄てられたウエディングドレスを目の端に映す

あの馬鹿と結婚するときは、もっといいのを俺が用意してやる

こんなケチケチした生地なんかじゃねえのを、な

貴美恵に頼めば、最高級のを用意するだろう

…たく、松浦は馬鹿だ…大馬鹿すぎる

一度乗りかけた船を、俺が捨てると思ってるのか?

頼りきりは良くない…とか言いやがって、妙な気回しはいらねえんだよ

ホント、馬鹿だな、あいつ

俺は、一度信頼した奴を見捨てたりはしない

裏切られない限り、俺は何度でも助ける

困ったままになんか、させねえよ

それにな…俺が気に入ったヤツの人生に傷をつけるヤツは許せねえんだよ

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