わたしの、センセ
俺は意味ありげな笑みを浮かべると、ソファの背もたれに背中を預けた
「娘の意志で結婚を決めたんだろ? だから俺との約束を守れなかったって正直に言えよ。娘の気持ちを尊重したんだろ? 優しい父親じゃないか」
「そ、そうなんですよ。海外出張中の私の元に娘からメールが来まして。でも小山内君の契約内容は婚約を破棄するという約束でしたから…」
「最初からそう正直に言えって」
俺はにこっと微笑んだ
「じゃあ、契約は……」
謙蔵がほっとした表情になると、肩を撫でおろす
俺はソファから立ち上がると、微笑んだ顔を真顔に戻した
「契約は無効とする。今後一切、貴社とは契約は結ばん。裏切り者に用はない」
謙蔵の目が、張り裂けんばかりに見開いた
「ど…どうして。一度、婚約の破棄はした。それでも娘が結婚をするって言うから…私は嘘をついてない! なぜ、私は『裏切り者』と言われなくちゃいけないんだ。裏切ってなんていない」
「ふん…馬鹿だろ。あんた」
俺は、謙蔵を見下ろした
「本当に裏切ってないなら、娘が結婚を決めた時点で、俺に一言、断りが入ってもいいんじゃねえの? 破棄をしたけれども、娘の気持ちを尊重したいとか…なんとかって。でもあんたはしなかった。なんでだ?」
俺は口の片端を持ち上げると、謙蔵の顎を掴んだ
「俺が答えてやるよ。娘が本心から臨んだ結婚ではないと知っていたからだ。だから俺に言えなかった。報告できなかった。俺にたいして後ろめたい気持ちしかなかったからだ」
俺は顎から指を離すと、謙蔵の胸をドンと押した
「娘の意志で結婚を決めたんだろ? だから俺との約束を守れなかったって正直に言えよ。娘の気持ちを尊重したんだろ? 優しい父親じゃないか」
「そ、そうなんですよ。海外出張中の私の元に娘からメールが来まして。でも小山内君の契約内容は婚約を破棄するという約束でしたから…」
「最初からそう正直に言えって」
俺はにこっと微笑んだ
「じゃあ、契約は……」
謙蔵がほっとした表情になると、肩を撫でおろす
俺はソファから立ち上がると、微笑んだ顔を真顔に戻した
「契約は無効とする。今後一切、貴社とは契約は結ばん。裏切り者に用はない」
謙蔵の目が、張り裂けんばかりに見開いた
「ど…どうして。一度、婚約の破棄はした。それでも娘が結婚をするって言うから…私は嘘をついてない! なぜ、私は『裏切り者』と言われなくちゃいけないんだ。裏切ってなんていない」
「ふん…馬鹿だろ。あんた」
俺は、謙蔵を見下ろした
「本当に裏切ってないなら、娘が結婚を決めた時点で、俺に一言、断りが入ってもいいんじゃねえの? 破棄をしたけれども、娘の気持ちを尊重したいとか…なんとかって。でもあんたはしなかった。なんでだ?」
俺は口の片端を持ち上げると、謙蔵の顎を掴んだ
「俺が答えてやるよ。娘が本心から臨んだ結婚ではないと知っていたからだ。だから俺に言えなかった。報告できなかった。俺にたいして後ろめたい気持ちしかなかったからだ」
俺は顎から指を離すと、謙蔵の胸をドンと押した