わたしの、センセ
「真央こそ、こっちに来いよ」

『嫌よ。地元は離れたくない』

「はいはい」

いつもそうやって断られてるからわかってるよ

「真央、ゴールデンウィークにはそっちに行くよ」

『ゴールデンウィーク? ってまだ一カ月も先じゃない』

「週末に会いに行くって言いたいところだけど、仕事がどうなるかわからないから」

『悠真も社会人になったんだねえ』

「おふくろみたいな発言すんなよ」

『ごめんごめん』

電話の向こうで、真央がクスクスと笑っているのがわかった

僕より4年も早く社会人デビューした真央からしたら、僕なんてまだまだ子どもみたいに見えるんだろうなあ

僕と真央はそれから1時間近く電話をして、話をした

真央が駅から歩いて家に着くまでの間、ずっと互いの近況を話し合った

真央は美容のためと言って、バスで行くような距離でも、すたすたと歩いて行ってしまう

1~2時間、歩き続けるのなんて平気で、それに付き合わされていた僕のほうが先に根をあげていた

真央はいつでも、僕の先を歩いている

甘えるのはいつも僕で、真央はそんな僕の背中を叩いて渇を入れていた

女性は精神年齢が高いというから、きっと真央から見る僕なんて、男っていうよりも年下の男の子って感じなんだろうな

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