わたしの、センセ
頬にもキスをして、また唇にセンセはキスをしてくれた

今度は重ねるだけのキスとは違う

大人のキスだった

息が苦しくて、思わず先生のシャツを掴んでしまう

センセの舌が、まるでわたしの全身に麻酔をかけるみたいに、触れられるだけでビリビリと痺れた

「…センセっ」

「さくら」

センセの唇が、わたしの鎖骨にいく

軽い痛みが走ったと想うと、センセが顔をあげた

「12時だよ…シンデレラ」

センセが寂しそうに笑って、わたしから離れた

わたしは携帯を取り出すと、液晶にうつる時計を見つめる

センセの言うとおり、日付がかわっていた

わたしは携帯をバックの中に突っ込むと、立ち上がった

「家に帰ります」

「送っていくよ」

「いえ…運転手に来てもらいます。これ以上は、センセに触れられないから」

センセ、ごめんなさい

もう…センセを諦めますから

「何かあったらいつでもメールしていいから」

センセの優しい口調に、わたしは首を横に振った

「センセ、明日からわたしを嫌ってください。それじゃ…おやすみなさい」

わたしが深くお辞儀をすると、センセがなんとも言えない表情になった

わたしは教室を飛び出すと、一気に下駄箱まで走った

携帯を鞄から出すと、運転手の携帯に電話した

「学校にいるの。迎えに来て」

それだけ言うと、わたしが下駄箱で丸くなって膝をかかえた

センセ…やっぱり好きです

ごめんなさい
< 37 / 176 >

この作品をシェア

pagetop