わたしの、センセ
-さくらside-

「この馬鹿者っ!」

家に帰ってきてまたわたしは、パパに頬を叩かれた

今日だけでもう2回目だ

頬がじんじんと痛みを訴えて、痛かった

「道隆君を蹴って、ホテルから逃げ出すなんて…お前は何を考えてるんだっ」

パパの口からは勢い余って唾が、飛び出す

わたしは下を向くと、ぎゅっとスカートを掴んだ

「お前…学校で誰と会っていたんだ」

パパが、低くて怒りが滲んでいる言葉で問いかけてきた

わたしははっとすると、先生にかけてもらった上着に目をやった

センセ……ごめんなさい

絶対に言わないから、センセと会ったなんて、絶対にパパには言わない

だってもうこれ以上、センセに迷惑をかけたくないから

好きな気持ちは消せないけど、隠すことならできるよ

わたしは首を横に振った

「言え! 誰と会ってたんだ?」

わたしはさらに勢いをつけて首を振った

嫌だ、絶対に言わない

パパに叩かれたって殴られたって、絶対に言わないんだから

パパなんか怖くないもの

ただ怒鳴って怒るだけ

そんなの怖くない

それよりセンセと会えなくなるほうが怖い

センセに好きになってもらえてなくていい…でも、傍にいたい

遠くでもいいから、見つめていたい

触れられなくてもいいけど…センセがいる空間にいたいよ

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