わたしの、センセ
-悠真side-

会って欲しくないよ…婚約者に…会って欲しくない

さくらが好きなんだ

ううん、僕はさくらを愛してる

もう隠さない

自分を偽らないよ

認めるよ、自分の心に…自分の想いに…正直になるよ

僕は、さくらが欲しい

欲しくてたまらないよ

さくらを困らせてしまったのだろうか?

なかなかさくらからの返事のメールがこない

「悠真?」

暗闇から、真央の声が聞こえてきた

僕は携帯を閉じると真央のほうに顔を向けた

「どうした?」

「ううん…悠真が起きてたから」

「同僚と仕事のことでメールしてたんだ」

「そう…なんだ」

真央が怪しむような目で僕を見ながら、布団に潜る

初めて、真央に嘘をついた

いつも真央には正直に話をしていたのに、さくらとのことを知られたくなかった

真央に罪悪感があるとかそういうんじゃなくて…誰にも知られちゃいけないって思ったから

さくらへの想いは…さくらが卒業するまで、隠し続ける

さくらの将来を潰したくない

それと同時に、さくらと離れたくないという気持ちが、僕の胸を支配していた

さくらと一緒にいるためにつく嘘ならいくらでもつけそうな気がした

悪い大人だな、僕は…
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