わたしの、センセ
「真央、僕はもう…真央を抱かない。僕に期待しないで。真央を決して一人にはしないけど、僕に愛を求めないで。僕は真央に応えられないから」

真央が「残酷よ」と呟くと、顔を覆って啜り泣いた

残酷かもしれないね

酷い男…だよね

いっそ、嫌いになれたら、どんなにお互いに気が楽になるんだろうか

憎み合うほうが、簡単に別れられるのかもしれない

けどね、僕は真央を嫌いになれないよ

僕が辛いとき、支えてきてくれたのは真央だろ?

真央が、僕の傍にいて元気づけてくれた

その事実は変わらない

今、こうして僕が立っていられるのは真央のおかげなんだ

だから、真央を嫌いになんてなれないよ

「真央、洗い物は僕がやるから。今夜はシャワーを浴びて、寝たほうがいい」

「……わかった」

真央が立ちあがると、真央専用にあけた引き出しから下着を出してユニットバスに入っていった

僕は携帯に手を伸ばすと、さくらからのメールをもう一度開いて、眺めた

『凄くないよ。僕の友人が凄い人なんだ。婚約破棄のお祝いのデートは何をしようか?』

僕は送信ボタンを押した

僕はホントに悪い男だよね

真央と一緒に暮らしておきながら、生徒とメールをしてる

しかも真央の目を盗んで、さくらをデートに誘ってる

僕はいつか…天から罰を受けるのかな?

悪い男として、雷を身体に落とされるかもしれないね

真央の浮気より、もっと罪が重いよな

元カノと中途半端に一緒に暮らしながら、さくらと本気の恋をしてるんだから…

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