わたしの、センセ
わたしは置き時計を見てから、鞄を肩にかけて立ち上がった

そろそろ出発しよう

もう少しでセンセに会える

家からも学校からも、遠い地で、センセと同じ夜を過ごせるんだ

ちょっとした小旅行

誰にも見られない場所で、センセと過ごすの

知られたら大変だからね

センセが責められちゃう

そんなのは絶対にイヤ

センセは悪くないもの

わたしが好きになって、センセの時間を奪ってるの

センセには恋人がいる

すごく綺麗な女性で、化粧も上手で、大人の人って雰囲気が漂ってた

わたしとはまるで別世界の女性だった

ハイヒールとネイルの似合う女性って、羨ましい

それだけで魅力的なんだもの

大人な雰囲気を演出できるから、ちょっと憎らしくなっちゃうな

わたしにはまだ似合わない

子供が大人ぶった格好をしても、不格好で不釣り合い

センセと並んでも、似合う女性になりたいのに…それにはまだ時間がかかりそう

でも、わたしがセンセの隣に立てる年齢になるころには、きっとセンセは今の恋人と結婚しちゃってるのかな?

「もっと早く生まれたかったな」

センセと同級生だったら良かったのに

わたしは自分の部屋を出ると、メイドに鞄を持たせて玄関に向かった

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