孤島の結束
「俺達、渋滞にはまったよ〜参った参った」


 二人揃って現れたのは、今回の別荘を建てた仲良しの双子だ。
 井上ケンと井上マサである。

 こいつらは揃いも揃って名前がカタカナで、身長や体型も普通なだけで特徴がない。特徴といえば、二人合わせた様に同じセリフを言うクローンちゃんだ。何せ俺を罵る時も、同時にセリフを言うんだから笑える。この双子は全国に様々なフランチャイズを展開し、今では有名な双子社長だ。


「つぅ〜か遠いよ。もっと近くに別荘立てりゃ良かったのに」


 悪態をつきながら登場したのは、竹山彩。
 こいつは昔から、高飛車で女王気取りである。今は玉の輿に乗りセレブ気取りだが、顔はクレヨンで塗った様なメイクをし、デーモン何とかに似ている。体は細く針金だ。


「悪ぃ悪ぃ! もしかして俺待ちだった〜?!」


 カッコつけながら最後に登場したのは、間島谷春。

 こいつのあだ名は、苗字と名前を組み合わせた【マジタニ】だ。女にモテるが松島ひとみに振られた事がある。ざま〜みろだ。マジタニは現在ホストクラブの経営者。元々はホストをしていたのだが、経営者にまで上りつめた成金野郎だ。

 こうして八人と俺は、ケンとマサのクルーザーに乗り、別荘に向かった。

 俺に復讐される事に気付きもしないで、と俺は内心ニヤニヤしながら、シャクレたアゴを撫でていた。
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