【20歳、初恋】
「おい?どこか痛いのか?」
私の顔の前で、パチンッと指を鳴らす。
そんな格好にもドキドキする。
自分が信じられなかった。
「は、はい!大丈夫ですっ!!」
私は慌てて立ち上がった。
同時に、背中から温かさが消える。
ふと寂しさが込み上げてきた。
「書類がバラバラだな…」
男性は美しい動作で立ち上がり、辺りを見回して小さくため息をついた。
辺りには、書類が落葉みたいに散らばっていた。
すぅっと顔が冷たくなる。
「もっ申し訳ありません!すぐ、拾いますっ!!」
私はそう言ってしゃがみ込んだ。
ガサガサと書類をかき集める。
うぅ、最悪…!!
すんごい恥ずかしいっ!!
恥ずかしさを掻き消すように書類を集めまくっていると、少し遠くに男性がしゃがみ込んだのが見えた。
そのままガサガサと書類を集め始める。