【20歳、初恋】
「ねぇ君」
低い声が後ろから私の耳を侵す。
「なんっ…ですか?」
必死で冷静を装う。
ドキドキという音が聞こえないか不安になった。
「名前、何てゆうの?」
くすくすと笑いを含んだ声。
うゔぅぅ…!!!
恥ずかしさで顔が熱くなる。
「臣那牙、優奈です…」
「ふぅん優奈ちゃんね…宜しく」
男性は私の前に体をずらして、私に手を差し出した。
「よ、宜しくお願いします」
そうっと手を差し出す。
ギュッ
と、力強く…でも優しく手を握られた。
ゆっくりと離れていく男性の手。
「書類は他のに運ばせるから、優奈ちゃんはもう戻りな」
にっこりと笑って、男性はコツコツと歩き去っていった。
ドキン…ドキン…
高鳴る心臓を抑えて、私は確信していた。
これは…恋。
そして…私は、決心する。
私、あの人を探し出してみせる。
そして…いつか、両想いになってみせる!!