Expansion-エクスパンション-
◆第1章~ストライダー
*廃墟にて


 雨ざらしの床に眉を寄せ、散らばる瓦礫(がれき)を避けつつ2人の青年は歩みを進めていた。

 天井を見上げると、星の輝きが目にしみる。

 どこかで見た情景のような、それでいて遙か遠い空想を思わせる風景だ。

「おい、待てよ。待てって、白銀(はくぎん)!」

「その名で呼ぶんじゃねえよ」

 銀髪の青年は、後ろを歩く青年にギロリと睨みをきかせる。

 もう何百年も前に廃墟となったであろうその建物は、忘れ去られた遺物を内に秘めている。
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