Expansion-エクスパンション-
 女は白銀を確認するとおもむろに話しかけた。

「久しぶりね。シルヴィ」

「ライナ……1ヶ月振りか。偶然だなぁ」

「ホントにそう思ってる?」

 意味深に語るこの口ぶり。嫌な予感……白銀は慎重に間合いを計った。

「単刀直入に言うわ。あなた『メナス・オリオール』に入らない?」

「冗談だろ? いい噂の無い組織じゃないか」

「当たり前でしょ、名前からして良い事してると思う?」

「で、それがどうした?」

 女は白銀に右手を差し出し傲慢(ごうまん)な態度で言い放った。

「あなたの力が欲しいんですって。来てもらうわよ」

 やっぱりか! 瞬間、襲ってくる光の矢を避ける。

「……」

 白銀は破壊された地面を一瞥し苦笑いを浮かべて女を見つめた。
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