Expansion-エクスパンション-
「……」

 見たことも無い輝きに白銀は目を奪われそうになる。囚われそうになる意識から白銀は我に帰ろうと頭を振った。それを見た老人は安心したように小さく溜息を吐き出す。

「これはこの世にあってはならぬモノじゃ」

「一体なんなんだ。これは」

「わからんのか? お前さんともあろう者が」

「……?」

 言われて再びまじまじと見つめる。意識を奪われないように、自我をしっかりと持ちつつ。

 伝わる波長がいつも森の中で感じるソレに似ていると思った。

「お前さんなら解るはずじゃ。いつもマナを感じていたろう?」

「マナ?」

 思い出そうと目を細める。

 どこかで感じた感覚……マナ、大いなるマナの──

「! まさか『マナ・グロウブ』!? しかしあれは……っ!」

「この世に破滅をもたらす球。わしはこれを破壊したいのじゃ」

「破壊……」

 白銀は息を呑んだ。
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