Expansion-エクスパンション-

*幻想の住人たち

「! なんだ……? 一体何が……」

 ふと白銀が我に返った。

「シルヴィ気が付いたか!」

 ナナンが嬉しそうに声をかける。白銀はすぐに状況を把握した。

「ディラン俺に代われ!」

「ばかやろっ無理に決まってんだろ。それより迎撃の方やってくれよ!」

 白銀はすぐに操縦席の左斜めにあるレーザー砲の席に座り、敵の小型艇に照準を合わせた。

 敵の小型艇3隻はかなりのテクニックだ。

 こちらの攻撃が致命的にならない。白銀ははがゆい気持ちだった。

「!」

 ナナンは焦る白銀の右肩に手をやり静かに彼につぶやく。

「落ち着けシルヴィ。ゆっくり深呼吸するんじゃ。意識を画面に集中して……目を閉じてもいい。レーザーが敵の船に向かって行く軌道を想像する」

「……」

それを聞いた白銀は瞼(まぶた)を閉じてゆっくり長く呼吸して集中を始める。レーザーの発射ボタンを押した。

 それは綺麗な弧(こ)を描いて追ってくる小型艇の1隻に当たる。

「次……」

 つぶやいて白銀は再び発射ボタンを押した。
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