Expansion-エクスパンション-
 船はとりあえず近くの惑星に向けて自動操縦にし3人はリビングルームへ──温かいコーヒーを傾け一息つく。

「で、あいつらが言ってたのって何……?」

 ディランは改めて白銀に訪ねた。

「……」

 白銀は重い口を開く。

「お前も悪魔くらいは知ってるだろう?」

「そりゃまあ」

「じゃあ、奴らが崇拝している奴も知ってるよな?」

「確か……ルシフェルだったっけ?」

「俺の親父はそいつが堕天した後に奴がいた位階(いかい)に置かれた。だから奴らは親父の血を持つ俺の命を欲しがってる」

「ちょ……っ。ちょっと待って! それって……」

 ディランは突然、空想の世界に入れられたような混乱を覚えて頭を抱えた。

 とにかく落ち着こうと深呼吸を繰り返す。

「それってさ……お前が天使の子供って事?」

 白銀は否定も肯定もせずにディランから視線を外した。

 それで彼の言っている事が真実だと解る。
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