Expansion-エクスパンション-
「どういう事だ?」

 リャムカが施設から出て口を開く。

「シルヴィをおびき出すための罠だったのかな?」

 ディランは腕を組んで眉をひそめた。

「それが正解じゃろうな」
「……」

 白銀は小さく舌打ちをする。

 この施設に母を預けたのもセキュリティに安心があったからだ。

 そのセキュリティをかいくぐって彼らが母を拉致したのであればかなり怖い相手だという事になったのだが……

「とりあえずどうする?」

 ディランが聞いた刹那──

「全員おそろいだな」

 小型艇に乗り込もうとしていた一同にアルシオは小さく両手を広げて笑いかけた。
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