Expansion-エクスパンション-
 1時間ほどして小型艇はとある建物の前に降りる。

 白銀を丁寧に抱きかかえアルシオはその白い建物に入っていった。

 まるで地球のローマ時代を思わせる雰囲気。

 掲げられた紋章が悪魔の象徴でさえなければ美しい建造物だ。

 アルシオが奥に進んでいくと途中で色白の細長い男が隣に立ち同じように歩き出した。

「とうとう手に入れたか」
「ああ」

 甲高く響く足音。色白の男は白銀の顔を確認しアルシオに話を振った。

「こんな場所で召還しても大丈夫なのか?」

「彼らは高次元の存在だ、距離など意味が無い」

 アルシオは半ば呆れたように応えた。

 地球では神、天使、悪魔と呼ばれている高次元の存在。

 それは他の惑星の人間から見ればまた違った名称を示す。
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