Expansion-エクスパンション-
「……」

 白銀の寝顔に目を細める。

 そしてすっと無表情になり、そこにいるサタニストたちに目を移した。

「奴らが追ってくるかもしれない。さっとさ召還を始めよう」

 その時代に見合ったアイテム。召還にはそれが必要だ。

 時には『トカゲの尻尾』のような意味の解らない物もあった。

 この次元に存在し続けるのに必要な要素。それを並べるに過ぎない。召還時に口にする言葉も必要な要素の1つ。

「……」

 口々に発せられる奇妙な言葉のつづり。

 声は徐々に力を増していき叫び声になる者もいる。

 タイミングを計ってアルシオは白銀の腕に銀色の刃を走らせた。

「……っ!」

 痛みで目が覚める。

「お目覚めかい?」
「! お前はっ……」

 起き上がろうとしたが力が入らない。

「そこで大人しくしていろ。ルシファーの恋人よ」

「……恋人?」

 眉をひそめる白銀にアルシオは薄笑いで目だけを向けた。
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