あいのうた

…超怖かった。
男に触られる事なく生きてきたあたしは
あーいうことを初めて体感した。

相手の男がもがいている。
自分が悪いのになんで男はそうもがくんだろう。

「そいつもその気だったから声出さなかったんじゃないのか!?」

何か最悪。

あたしが悪いって言うわけえッ!?
てめぇが触ってきたくせに何言ってんの!?

オヤジを蹴ろうとした瞬間痴漢を止めてくれた男が、
オヤジを殴ってくれた。

「お前、人の気持ちも知らずに…!」
オヤジはひぃぃとうなり出す。

…ひとまず警察はあたしを出してくれた。
一本はやく乗るのが間違いだった!
と、ズカズカと歩いていく途中男が目の前に現れた。

「大丈夫?」

今さっき彼の顔をまともに見てなかったせいか、
彼の笑顔が素敵…と思った。


< 11 / 37 >

この作品をシェア

pagetop