あいのうた

…それって…、宗君のことだったんだ。

あたしはただ、走ってる。

暗闇の中でずっと走ってる。

誰か私を救い上げて…。

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いつのまにか、宗君はいなくなっていた。

あたしはコーラを溝に捨て、残った氷を手に持ち

思い切り壁に当てた。

♪~♪~♪

…こうやって悲しいときにも間抜けなメロディが鳴るんだ。


受信:宗君
件名:どうした?
『緋芽どうした?』

送信は送らなかった。

ここでメールを送ったら親友じゃなくなりそうだったから。

あたしは弱かったんだ。

**********************

クラスに入り、とびっきりの亜由の笑顔を見たら悲しいのも無くなった。

キーンコーンカーンコーン…

第1回のチャイムが鳴る。

宗君はどうしたんだろう…?

先生の話も聞かずにずっとそのことばかり考えていた。

侑里のこと考えると胸が痛い。



…いつのまにか放課後になっていた。

♪~♪~♪

宗君からメールが来た。

『今日どうしたの?教室行ってもいなかったし』

『なんでもない』

送信ボタンを押し、窓を見ると校門に侑里の姿があった。





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