あいのうた
『まじ俺心配なんだって~(汗)』

ゆっくりボタンを押した。

『校門に侑里来てるよ』

宗君からメールはなかった。

そのほうがいい。突き放してくれてたほうが…。

「緋芽ー、かえるよおー?」

委員会から帰ってきた亜由が大声で叫んでいる。

「うん!ちょっと待ってェ」

亜由とメイクの話とかファッションの話で盛り上がっていた。

ちょうど心の痛みも消えようとした…

「じゃあ、今日渋谷に19時!ちゃんと来いよ~~」

今日も亜由と遊ぶ予定。

亜由と別れを告げ、駅に急ぐ。

16時の電車は空いていて、怖くなかった。

時計を見て、手すりにつかまる。

一度揺れるたびに自分の心も揺れ響いた。
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