あいのうた
んっ…。此処何処にいるんだろう…?
「おい、気がついたよ。」
誰の声だ…?
あたりを見回すとトイレだとわかった。
ボコッ
「痛っ…!」
「緋芽、起きたかな?」
詩央、里佳子、紗久羅、そして侑里…。
「あたしの彼氏とりやがって…。」
宗君…?
「え…。」
「冬馬様のときだってそうよ!侑里の彼氏に助けてもらって…。」
「あんたさえいなければ…あたしと宗は…」
”あたしと宗は…”…?
「あたしと宗は結婚していたのに!!!」
え…。
結婚…?
いきなり目の前が真っ白になった。
本当は宗君を愛してはいけないのかなって…。
あたしさえいなければ…
「あんたなんて本気にされてないのよ!」
ボコッ
「くはっ…!ケホッケホッ…」
「あんた、このこと黙ってないと、昔の写真バラまくわよ?」
「やめてっ!それだけは…!!」
バンッ!
「緋芽ッ!」
宗君…亜由…?
涙が溢れてきてその場に座り込んだ。
「てめぇら何やってんだよ!」
宗君が本気で怒っている…。
「宗…!」
侑里がビックリして声が震えている。
「緋芽に何したんだよ?」
「そいつが…緋芽が宗をとったから…!!!」
バシッ
「痛ってぇな!宗は忘れたのかよ!?約束忘れたのかよ…?」
宗君が無言になった。
約束って結婚のことだよね…?
無言になったってことは本当だったんだ…。
「俺は…。あの約束は忘れていない。でも今は緋芽が大事なんだ…。」