あいのうた
「あっ…。」
宗君だ…。
「よっ、久しぶりっ!」
明るく笑顔をくれた宗君は、帰りの準備をしている。
なのにあたしは、笑顔を見せずただ立っていた。
「どうした?帰ろうよ。」
宗君があたしに手を差し伸べている。
さっきまで"自分が彼女"という自信があったのに
今は宗君の手を触れずにいた。
「…侑里のことなら気にすんな。」
涙が出てきて、顔を全部を隠す。
「俺が中坊で何も考えず言った言葉だから。」
宗君はあたしを抱きしめてくれた。
唇が触れ合った瞬間自分は愛されてるのがわかった。
「お前は俺の彼女だし、俺はお前のこと好きだから…。」
優しく髪を撫で、机に押し倒される。
「…やだっ。ココ学校…。」
宗君は何も言わずあたしの首筋を触る。
「…帰るかっ!」
パッっと何もなかったのようにカバンを持って出ていく。
今さっき何したんだろう…。
首筋に何かあったんだろうか…。
あたしは子犬のようにせっせとついて行く。
宗君はあたしに微笑んでくれたことが、一番うれしかったんだ。