偽りの結束
「何で……これは?! どうして?!」


 透は言葉が上手く繋がらず、途切れ途切れに言葉を発した。

 佐藤は、ひっ! っと声を洩らし、頭を抱え、しゃがみ込んでしまった。

 私も、正常に思考が動き出すまで時間がかかった。

 やがて思考が動き出した時、どうしてマジタニと和美が、一緒に殺されているのか疑問に思った。マジタニがトイレに一人で来たのは分かる。マジタニは男だから、私達女性にトイレへついてきてとは、言いづらいだろうと容易に推測出来た。でも和美は? 女の人が暗い中、まして殺人が起きている場所に、一人で行けるだろうか? こういう時、彼氏である佐藤に、ついてきてもらうとかするんじゃないだろうか? 

 やはり和美と佐藤は、恋人同士ではないのかもしれない!

 さっき、テントから聞こえてきた会話で感じた違和感……。

 今日子の彼氏である透でさえも、佐藤や和美も、今日子の話しをしていた時、何処かよそよそしかったんだ。

 その時、突然佐藤が立ち上がった。


「うわぁーーー俺は殺されたくないーーー!!」


 そう叫んで、森の中へ走り出してしまった。私達は急には動けず、


「佐藤さんを追おう!」


 という透の言葉で我に返り、ようやく走り出した。
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