主従関係
「まあ。直人様!!本郷製薬なんて素晴らしい縁談じゃないですかっ♪」


俺の心中とは真逆の花蓮の嬉々とした声がした。


目をランランと輝かせ、まるで自分の事のように嬉しがった。


「本郷家と縁談が上手く行きますと櫻庭家はますます発展しますわね。」


「花蓮ちゃんもそう思うだろ?」


親父は花蓮の反応に気を良くし赤ワインを美味しそうに呑んでいた。


「勿論ですわ。直人様!!このチャンスを逃してはいけません!!エリカ様に気に入られるよう頑張って下さい。」


「……。」


嘘だろ?


花蓮は俺の事ただの主人しか思ってないのかよ…。


どんなに想っても俺の気持ちは報われない…‥。


…そんなの…認めたくねぇ。
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