主従関係
目の前に直人様の顔が……。ち……近い……。


サラサラの髪が私の額をくすぐる。


「ほらっ!熱い!!」


直人様の吐息が間近に感じられ私の心臓が壊れるっていうぐらい鳴り響いた。


もうダメっ!!



バッと立ち上がり「本当に大丈夫ですから!」と言おうとした瞬間、足に力が入らなくてバランスを崩し、そのまま直人様に倒れ込んでしまった。



「きゃあ!!」


「大丈夫?」



直人様がしっかりと抱き留めてくれた。


もうっ!!私ったら何やってんのよ!!


情けない……。


じわりと涙が浮かび顔を上げれなくて、直人様の胸に顔を埋めたままだった。
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