主従関係
無邪気に笑う如月さんを横目に押し黙っていると変に思った如月さんが口を開いた。



「どうかしたんですか?」


「………私……結婚するの……。」



「好きでもない人と?」


「…………。」


「婚約者の人、好きじゃないって事ぐらい分かりますよ。」


押し黙っていると苛々した口調で如月さんが更に追及してきた。



「もう、止めろ。家の事情もあるんだ。どーにもならないこともあるだ。それに花蓮君は病人なんだぞ。」


見かねた藤堂先輩が如月さんを窘めた。


「ソレッておかしい。家の為に真田先輩が犠牲になるんですか?」


怒った如月さんは今度は藤堂先輩に詰め寄った。



「私……犠牲になんて思ってない……。………直人様の側にいられれば幸せだもの……。結婚でき……なくて……も私の心は……直人様に……捧げ…るつもりだった。」



泣いちゃダメだと思ったが溢れ出た思いと涙は止まらなかった。




「先輩……。」



ギュと如月さんが優しく抱きしめてくれた。










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