主従関係
「コホン。イチャついてる所悪いんだけど……。」
「和也さん!!」
直人様と慌てて離れた。
「あの……。ごめんなさい。勝手な事ばっかりして…。」
自分の都合で結果的に和也さんを振り回してしまった。
責められてもおかしくないし、申し訳ない気持ちでいっぱいになり俯きながら頭を下げた。
「花蓮ちゃんが幸せならそれでいいんだよ。」
和也さんは大きな手で優しく私の頭を撫でてくれた。
「俺、今は未熟で和也さんには到底及ばないですけど、いつか必ず越えて見せますから!!」
力強く宣言する直人様はとても頼もしかった。
「フッ…楽しみにしてるよ。それじゃあ、僕は仕事があるからこれで失礼するよ。」
頭を下げ、和也さんを見送ると不意に和也さんが振り返り大声で叫んだ。
「花蓮ちゃんを泣かせたら、真田家に返してもらうからね!!」
「そんな事絶対しませんからー!!」
負けじと直人様も大声で叫んだ。
それを聞いた和也さんはニヒルに笑い
「君になら真田家の運命を変えられるかもな……。」
「えっ?」
ボソリと呟いた声は直人様には聞こえなかったみたい。
良かった……。
和也さんの直人様に対するわだかまりは解消したように見えた。
この日は真田家、櫻庭家ともに屋敷中に笑いが絶え間なく続いた。