【一話完結×短編集】ビター&スィート

照りつける日差しを避け
日影にいると風が吹き
いくぶんか涼しさを感じる


けど、俺は一向に熱が納まらない


「呼び出したりして

ごめんな」



「…ううん」


ちょっと戸惑いがちに

返事を返されただけで

どうしていいかわからなくなる



気持ちだけでも…

そう決意したのに…鈍る


振られても

夏休みという長い休みの期間がある…



だから…



俺は屋上に天宮を呼び出した





「明日から…夏休みだな」




「そうだね〜

早速、明日花火大会あるし楽しみ〜」


本当に楽しそうに

空を眺める天宮



…誰と行くんだ?


青島とか?



「紡原君は花火見に行くの?」



そんなの…


決まってる



「俺…天宮と行きたい

…一緒に行かないか?」


「えっ…えっと…」



明らかに困ってて

どうしようって
雰囲気すら伝わってくる


やっぱ青島と行くんだろうな…


一歩も…二歩も

引いてしまいそうになる



…けど……


「俺…天宮が好きだ」



「…えっ…えぇ?」



「振っといて何だって感じだけど

あれからずっと天宮ばかり気にして

視線ばっか追いかけちまって…

お返しだってしてねぇけどチョコまぢで美味かった


ちゃんと言えてなかったけど
…ありがとうな」


「そんな…」


「確かに今更…だけど

俺は天宮が好きだ


付き合いたいって思ってる」


もう一度はっきりと

天宮を見つめて言った



けど…

天宮は地面に視線を向けたままで…



あぁ…やっぱり…

…終わったなぁ


< 42 / 83 >

この作品をシェア

pagetop