フレアップ!!上巻
「はぁ!?聞こえねーんだけど!」
山中の声がマイクを使ってないのにも関わらず、俺の声なんかよりも数倍も響き渡る。
なんて、強いのだろう。
思い浮かぶ言葉もなければ、紡ぐ言葉も見つからない。
追い込まれた俺は、視線ばかりが泳いでいて、一人一人の表情を、必死に確認していた。
誰か、誰か助けてくれる人はいないのか。
古谷はひたすらに微笑み、山中は物凄く楽しそう。
そして、どこを見渡しても、優しい苅谷はいなかった。