フレアップ!!上巻
少し間があってから、苅谷が机の中の教科書を全て自分のカバンに詰め込むと、そこで思いがけない言葉がとびだした。

「勉強、教えてあげよっか」



・・・え?




俺に?



そんなことしてくれるのかよ。


「いいの?」


今までと違う真剣な面持ちで聞いてみた。
いつもふざけている俺とは違う。

いたって大真面目な自分にびっくりした。

「うん!いいよ」


苅谷の無垢な笑顔に俺は心の何かが満たされた。

ただ純粋に感じた 『嬉しい』 は人生で一番巨大なものだった。
< 58 / 232 >

この作品をシェア

pagetop