フレアップ!!上巻


そうだ。
苅谷は誰に対してでもこんな表情をつくる。

本当に無垢で純粋な女の子。

ただ、それだけ。



俺は苅谷にとって特別な人間じゃないんだ。



隣で勉強会が開かれはじめた。

苅谷と水町のやりとりをただただ聞くことしかできない俺。


一気に居場所を失った気がして、俺の心の中の黒い渦は残されたまま、渦の中のそれが大きくなった。



お隣の勉強会は随分と楽しそうに繰り広げられ、交ざる事のできない透明な壁が、ただひたすらに俺に邪魔をした。
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