花葬の時間
「イチ君!?どうしたのっ!?」
イチ君の涙にいち早く気付いた先生が飛んできた。ああ、嫌な予感。
「……あ、違うんです。僕の作った人形が気持ち悪いせいで、ニナちゃんに不快な思いさせちゃって」
「まあ……」
「でも、ニナちゃんは悪くないんです。僕が不器用でこんな気持ち悪いの作っちゃったから…」
出た。イチ君の必殺キラースマイル。みんな、みんなイチ君の笑顔に甘い。
なにさ、人よりちょっと可愛い顔してるからって。なんでも許されて。
「いいえ、不器用でも一生懸命作ったものを誰も否定できないわ。悪いのは……」
で、結局いつも被害を被るのは。
「ニナさん!後でお話があります」
……いつもわたしだ。
イチ君はわたしに恨みでもあるんだろうか。うん、そうとしか思えない。
だってほら、先生の後ろで目を細めて笑ってるもん。