花葬の時間


肩におかれた手から、痺れるような寒気が全身を駆け巡った。


「ひぃやぁぁぁ」


声がしたのは前方で、イチ君はいつのまに移動したんだろう。


もしかしたら、イチ君は悪魔かもしれない。服越しでも分かるくらい、手が異常に冷たい。


「ニナちゃん?どうしたの、大きい声出して」


なにその爽やかな笑顔は。大きい声っていうか悲鳴だ!あんたが怖すぎんのよ!


「大丈夫?」



なによ、優しい言葉なんかかけて。わたしは騙されないわよ。


わたしは差し出された手を払いのけた。


「わたしに一体なんの用?」


「別に用なんかないけど?」


「うそっ!ずっとわたしの後つけてたじゃない!」


「気のせいじゃない?僕はこの子のお葬式にいくだけだよ」



お、お…おそ、う、しき…。



「……っ、あんたがそんなズタズタにしたんでしょ!?」



「愛は時として憎悪へと変わるものなんだよ」


イチ君は「ね、ニナ?」といって人形にキスをする。


やめてええええ!!!!
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