花葬の時間
いやまて、落ち着けわたし。あれは人形。わたしじゃない。
いくら同じ名前つけられたからって……。チラリと横目でイチ君を盗み見る。
「大丈夫だよ、ニナ。ひとりじゃないからね?」
人形の頭を撫でながら愛おしそうに、もう一度キス。
せ、生理的にもう無理ぃぃぃ。
「あ、ニナちゃんも一緒に来ない?その方がニナも喜ぶだろうし」
「い、いい。いいよ。わたしは…!」
無理!絶っ対、無理!
「遠慮しなくていいんだよ…?ニナちゃんだったら許してあげる」
何を基準に許してもらえるんだろう、という疑問は置いといて。
別に遠慮なんかしてない。全身全霊で拒否したい。
「来てくれるよね?じゃないと僕…」
え、ちょっと。あんたの『ニナ』がミチミチいってるよ…!?
「ニナちゃんのこと考えて気が狂いそう」
「行かせていただきます」
ニコッと爽やかな笑顔の下で、引きちぎれそうなソレを見て背中に悪寒が走る。