花葬の時間
…一体なんなの。なんでわたしがイチ君と一緒にわけの分からない遊びに付き合わなきゃいけないの。涙が出てきた。
「ありがとう、ニナちゃん。泣いてくれてるんだね」
別にお前の人形の為に泣いてねーよ。と否定したいけどイチ君が怖いからできない。
しぶしぶイチ君の後をついてきたのはいいけれど、着いたのは人気のない洞窟。
「ちょ、イチ君…!お葬式ってどこいくの!?」
さすがに怖い。洞窟はやばい!
スタスタと先に洞窟に入っていくイチ君の後を追えなくて、わたしはたまらず叫んだ。
するとイチ君はピタリと動きを止めて体ごとこっちを向いてニヤリと笑った。
洞窟のせいか顔が影で半分隠れて怖いぃぃ!
「…秘密の場所。もうちょっとだから頑張って?」
細めた紫の瞳が妖しく光って、全身に鳥肌がたった。
「もっ、もうやだ!洞窟なんてこわいもん!わたし帰るっ」
それでも、勇気を振り絞って言った。震える手をごまかすように服の裾を握りしめて。
「……そう。じゃあ、どうしようかな」
すごく、冷めた声だった。
イチ君はハサミをこっちに向けて笑ってた。