ゲイな彼と札束
不安になってマモルに電話してみた。
『地下鉄は動いてるから、ちゃんと帰れるよ』
「あっそ。ならいいけど」
『夕方には帰るから、心配しないで』
「別に、心配してるわけじゃねーし……」
いつも通りの会話をして、電話を切る。
胸騒ぎの原因は掴めないままだ。
コーヒーをちびちび飲みながらテレビを見ていると、ジョージの奥さんが妊娠していたというニュースが流れている。
「ああ、とうとう公表したんだ」
と呟いた後だった。
ピーンポーン……ピーンポーン……
マモルのいない部屋にやけに響く呼び鈴。
先ほどの電話から、マモルでないことだけは確かである。
今小の部屋にはあたししかいないんだから、あたしが出なければなるまい。
インターホンのボタンを押し、無愛想に「はい」と応えた。
「こんにちは。中野警察署の者ですが」