ゲイな彼と札束

ちょうど暴走族の集会だったそうです。

義則さんは原付で彼らを追い、彼らの暴走に巻き込まれて……。

まあ、義則さん自身、過去に何度か暴走行為で補導されたことがありますから、走り方のイロハはご存知だったでのしょうけど。

怪我をされていたようですし、その時ばかりは彼らを上手くかわせなかったようです。

それからも県警は少しあなたの捜索を行ったそうですが、見つからず……お知らせが今になりました。

先日郵便局に届けを出したでしょう?

たまたま県警で君の捜索を担当していた者が、別件で転出届に関わる捜査をしたらしくてね。

そこで偶然あなたの居場所がわかって、うちの方に連絡が来たというわけなんですよ。



山内はここまで話して、あたしの反応を待つ。

急に来て急にそんな話を聞かされて、あたしの頭の中はパニック状態だ。

理解できたのは、親父が死んだということと、それがあたしのせいだということ。

あたしを探して、あたしのかつての仲間に殺された。

……いや、親父を殺したのは、黙って親父から逃げたあたしだ。

必死にバレないように逃げたけれど、親父はそのせいで死んだ。

親父はいない。

逃げる意味なんて、もうとっくになくなっていた。

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