ゲイな彼と札束
あたしは覚悟を決めて、再び脱衣所へ向かった。
マモルは浴室で湯をちゃぷちゃぷ鳴らしている。
給湯器のリモコンからはまだ湯が溜まったアナウンスはないが、ある程度溜まってきたようだ。
あたしは自分が着ている物を脱いで洗濯機に突っ込み、洗剤を入れ、柔軟剤も入れて、洗濯開始のボタンを押した。
静かに回りだす。
ドラム式洗濯機のいいところは、洗った物が乾いて出てくるところだ。
こんな天気でも、停電や断水さえしなければ、洗った服をしまうことができる。
あたしは緊張で高鳴る鼓動をぐっと抑え、裸で浴室のドアを押した。
ーーガチャ
扉を押し開ける音が、浴室でよく反響する。
「サエ!」
直後、マモルの驚いた声も響く。
暖色系の柔らかな光に照らされたマモルは、裸のあたしが突然侵入したことに、驚くというよりはビビっている。
「ちょっ……! なっ……! え、どうしたの?」
「うるせーな。彼女なんだから、たまには一緒に入ったっていいだろ」
「いいだろって……」
このタイミングで、給湯器のリモコンから湯が溜まったというアナウンスが流れた。
あたしは堂々とマモルの浸かる浴槽に向かい合って入ってやった。
湯が溢れ、ちょっともったいない。
マモルは細い目を丸々と開き、体育座りのような態勢で固まっている。