ゲイな彼と札束
マモルの濡れた白い肌は湯の効果で血色がよく、華奢な体つきは湯に歪んで艶めかしくゆらぐ。
「目のやり場に、困るんですけど」
「マモルになら、別にどこ見られたってかまわない」
強気に言ってみせたが、目のやり場に困るのはあたしだって同じだ。
自分の体に自身があるわけでもない。
でも、もしあたしの体に少しでも興味があるのなら、どこだって見せてやるつもりでいる。
浴槽内で互いの足が絡まる。
体の芯へと電流が走る。
目の前に、好きな男が裸で座っているのだ。
何ともないわけがない。
マモルの恥ずかしそうな顔を見ると、あたしはますます欲情した。
「サエ、せめて後ろ向いてくれる?」
「ゲイのくせに情けないこと言うなよ」
「ゲイでも俺は男なの」
「女には欲情しないくせに」
「それとこれとは、別。ゲイだって女の子の体に全く興味がないわけじゃないし、目の前にすればドキドキするよ」
ふーん。
興味がないわけじゃないのか。
ますますわからない。
仕方なく後ろを向いてやるが、必然的に上半身がマモルの体と密着するような体勢になる。
それが想定外だったのか、こいつはまた情けない声を上げた。
「ああ……この体勢、余計にハラハラする」
「ハラハラって。せめてドキドキって言えよ」