ゲイな彼と札束

背中の鳳凰が妬ましい。

真正面からマモルに密着しやがって。

今のマモルは目ではなく、手のやり場に困っているらしく、じれったく感じたあたしは腕を掴み、腹に巻き付かせる。

「女の子と一緒に風呂なんて、小学生の頃に妹と入って以来」

妹って……。

「この態勢なんだし、もう少し色気のあること言えよ」

あたし、一応彼女だぞ。

「だって……」

だってじゃねーよ。

そんな反応されたってあたしが困る。

そんなに恥ずかしがられたら、あたしが悪いことをしているみたいじゃんか。

彼女なのに、そういう気持ちになっちゃいけないのかよ。

彼氏にその気になってもらいたくて、大胆な行動に出るのは間違った行為なのか。

「あたしはマモルになら別にどこを見られたっていいし、触られたって構わない」

こんな恥ずかしいセリフだって、今なら言える。

キュッとマモルの脚が締まり、挟まれているあたしの体に擦れ湯が揺れて、芯が疼く。

「ほんと?」

「ほんとだよ」

互いの声が浴室に響く。

頑張った甲斐あって、あたしに興味を持ってくれたのだろうか。

ドキドキしていると、マモルが遠慮がちに言った。

「じゃあ、少しかがんでくれる?」

「え?」

「刺青のとこ触ってみたい」

……そっちかよ!

男なら他にあるだろ。

胸とか尻とか、もっと深いところとか。

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