ゲイな彼と札束
振り返ると、ようやくあたしの裸に慣れてきたマモルと目が合った。
本来の目的を果たそう。
あたしは大きな賭けに出るためにマモルが入っている風呂に侵入したのだ。
切り出すなら、今だ。
「マモル」
あたしは浴槽に膝をつき、体ごとマモルの方を向いた。
両腕をマモルの首に回すと、マモルの表情がまた固くなる。
「ギュッてしろよ」
「え……?」
「いいから」
マモルは戸惑いながら、遠慮がちにあたしの体を自分に押し付ける。
胸と胸が触れ合って、マモルの心拍数が上がっているのがわかる。
あたしだって同じだ。
目の前にある耳に唇を押し付けると、マモルの体が軽く震えた。
「サエ、ちょ……」
ちょっと待てってか。
待てねーよ。
抵抗しないマモルの唇を奪うのは、予想以上に簡単だった。