ゲイな彼と札束
河川敷には石がごろごろ転がっているが、アスファルトに叩きつけられるよりはいくらかマシ。
少しでもポジティブに考えないと、気が狂いそうだ。
「お前のせいで俺ら捕まったんやけぇな」
これだからバカは社会から鼻つまみものにされるんだ。
自分のしたことを棚にあげて人のせいにしてんじゃねーよ。
カッコ悪いんだよ。
あたしだって数々の不法行為を働いてきたけれど、どんなに怒られても、どんなに殴られても、誰かに罪をなすりつけたり、誰かに暴力を奮って鬱憤を晴らしたりしたことはない。
あたしだって真面目なやつはバカでダサいと思ってきたけれど、真面目にやっていたやつの方が賢かったのだと、今はちゃんと理解している。
正面から腹に蹴りが1発。
ヤバい。
久々に食らったが、あたしの腹筋で耐えきるほど優しくなかった。
みんなマジだ。
まだ1発なのに吐き気がする。
これはケンカじゃない。
八つ当たりの暴行だ。
手を後ろに縛られているし、囲まれているし、そもそも立ち上がることすら難しい。
逃げることも反撃もできない。
どの程度やられるだろうか想像してみる。
これだけの人数だ。
バットや木刀がないだけ儲けモノ。
下手に刃向かうより大人しく気が済むまでやらせる方が死なずに済むかも。
そんなことを考えていると、女が髪を掴んできた。
女はやたら髪を掴みたがる。