ゲイな彼と札束
マモルが乗せた300万。
思ったより札束って軽いんだな。
……って、そうじゃないだろ。
「あんた、バカじゃねーのマジで」
「そうかな?」
「見知らぬ女に300万投げつけるやつがあるかよ」
「投げつけてない。乗っけただけだよ」
マモルは爽やかに笑って、沸騰したお湯の方に行ってしまった。
いやいや、投げたか乗せたかって問題じゃないっつーの。
コーヒーのいい匂いがしてきた。
興味本位で札束をペラペラめくってみる。
全部新札。
全部本物。
何だよ。
全部あげるって、やっぱ頭おかしいぞ。
素直に受け取れるか気持ち悪い。
あたしは3つの札束をテーブルに戻し、バッグからタバコを取り出した。
「砂糖とミルク、好きなだけ入れて」
ブラックのままコーヒーを持ってきたマモル。
あたしは砂糖とミルクを入れながら、実はこいつってすげー危ないヤツなんじゃないかと思った。