ゲイな彼と札束

ゲートの電光掲示板を見て、次の羽田行きの時間と航空会社を確認。

エスカレーターで1階へ戻り、右の通路へ。

土産屋の前を通過し、目的の航空会社のカウンターを訪ねる。

綺麗に髪を束ねたお姉さんは見るからに怪我人のあたしを見るなり、ギョッとした。

「いらっしゃいませ。どちらまで行かれますか?」

「次の羽田行きをお願いします」

スウェットだろうが骨にヒビが入ってようが、もう知るか。

ここまで来たら追いかけるしかない。

ジョージとの契約がある限り、帰る家は中野のあのマンションだ。

ホモ野郎。

お前が来ないなら、こっちから行ってやる!

場違いな格好をしているあたしを、空港の利用者が怪訝な顔で見る。

ケガしてるしスウェットだし。

自分でも引くくらい、必死だし。

どうしてここまでしてマモルに会いたいのか、この無茶苦茶な行動の原動力は一体何なのだろう。

恋心? 意地? 気まぐれ?

正直、自分でもよくわからない。

早く。早く。

マモルは先に別の航空会社の飛行機で東京に降り立っているはず。

待ち時間や飛行機に乗っている時間が、長く感じて仕方なかった。



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