ゲイな彼と札束
マモルは狭いソファーの隣に座り、軽く札束に触れる。
「実はこのお金、手切れ金なんだ」
「手切れ金?」
「そう。最近恋人に振られたって言ったでしょ。金払うからその人を諦めてくれって、そういうお金なの」
どうやら金持ちはこいつじゃなくて、相手の女らしい。
だからって人に簡単にあげるなんて、こんなところに放置しているなんて、やっぱ頭おかしいぞ。
「このマンションも、その元恋人が買ったもの。お金だって、最初は500万あったんだ。200万はもう使った」
「何かのドラマみたいだな」
現実味がない話に同情なんてできない。
振られて寂しいからあたしを連れ込んだってことか。
上等だ。
あたしにとっても都合がいい。
300万もあることだし。